Episode 01

朝焼け

朝焼けと広がる雲海、午前5時前、今から寝る。
ああ、今日もまた外が明るい。まだ頭が冴えている。こうすればさらに眠れなくなるのはわかっているが窓を開け風を感じる。
するといつものようにあの音が聞こえてきた。

─ガチャン、ギギギギ、ガチャン、ギギギギ─

時は進み、街の鉄塔は歩きだし、鳥は話を始める。
これは始まりの音。
朝日と共に、すべての世界が動きだし一日を迎える準備を始めるため、動き出した歯車の音なのだ。

─ガチャン、ギギギギ、ガチャン、ギギギギ─

窓の縁に座り、朝日が上りきるのを歯車の音と共に眺める。心地よい機械音が頭に響く。
太陽の光は徐々に街を飲み込んでいく。
いつもの光景だ。

しかし今日の雲海は、まだそこにいたままだった。

─ガチャン、ギギギギ、ガチャン、ギギギギ─

素敵な音が続く。
世界が…、また1日が…、始まる。

ただ今日もこの流れに逆らうように、
とどまり続ける雲海みたいな晴れない気持ちを抱えつつ、
今から眠るのだった。


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